最近、いかなるオリジナル盤でも2000円以上出すのは躊躇するようになったnaruruです(笑)
今回はLAのSSWの中では異色の存在であるウォーレンジヴォンのメジャー3枚目のアルバムです。邦題は「ダンススクールの悲劇」です。
今までウォーレンジヴォンは何度も中古レコ屋で巡り会ったのですが、結構な値段で売られていて自分的にはジヴォンは英世1枚ほどでしか買う気無くずーとスルーしていたのですが、有名中古レコ屋(金山店)で1000円で売っていたのでゲットしてきました。(ついでにロビーロバートソンの初ソロも同じ価格でゲット)
僕のブログで購入してから一週間も経っていない状況で大して聞き込んでいないにも関わらず記事にすることは初めてです。それほど衝撃を受けました。
(実は今週はセバスチャンだったのですが緊急差し替えです)
モダンバレエの教室で夕日にたたずむ凶暴なSSW、カッコイイジャケですねー、とは言いがたく。なんなんだこれは?という感じですが
裏ジャケでなんとなく物語がわかります。このダンス教室がどんな結末を迎えるのか?暗示しているようです。これ以上僕は語れませんのであとはご想像に任せます。
タイトル曲の歌詞がわかれば意味も解釈出来るのですが、僕の英語力では無理なんで(汗
裏ジャケにクレジットが載っています。
相変わらずゲスト陣は豊富です。ギターはジジヴォン、ベースはリースカラー、ドラムスはリックマロッタ、を軸としてゲストが凄いことに、ギターにワディーワクテル、ドンフェルダー、ジョーウォルッシュ、スライドで親友のジャクソンブラウン、デビッドリンドレー、など。コーラスはドンヘンリー、グレン・フライ、リンダ、ジャクソン、JD。とアサイラム人脈。イーグルスなど5人のち4人が参加です。
歌詞カードのインナースリーブ。日本盤は和訳ついているのでしょうか?。あればそのためだけに買いたいです。
その裏はゲストとのスナップ写真満載。ウエストコース好きにはたまらない写真の数々。
冒頭に衝撃を受けた。と書きましたが、この中のA-6の歌詞が凄すぎる。アサイラムの本でライターの小尾隆さんが書いているのでそのまま抜粋します。
「僕は、何よりもプレイ・イット・オールナイトロングの絶望的な光景に、ぞっとさせられた。(爺さんは小便を漏らし、ブラザーヒルはベトナム帰りの後遺症に悩まされ、婆さんは癌、南部のそんなゆったりとしと死んでいくような家庭で死んだバンドのスイートホームアラバマを一晩中流してくれ。)と主人公が歌う歌だ」
確かにこのような凄い歌詞です。勿論「死んだバンド」はレイナードスキナード。
この曲以外にも凄みのある曲ばかりなのです。この盤を購入してたったの4日ですが、すでに10回は聞いてます。A-6に関しては20回以上聞いてます。
こんな凶暴な歌詞を歌えるSSWなんてほかにはいやしません(少し違ったところでLAの夜を歌うトムウェイツ、アメリカの闇を皮肉たっぷりに歌うランディーニューマンらがいますが)、ジヴォンの危険な歌詞、メロディは突出していると思います。
またその歌詞を最大限に引き出すアサイラムフレンド達。
たぶんみんなジヴォンの作る歌詞はよく理解できるのだが、とても自分では歌えないと思ってみんな協力しているのではないだろうか?
曲順です
A面
-1 Bad Luck Streak In Dancing School
-2 A Certain Girl
-3 Jungle Wark
-4 Empty-Handed Heart
-5 Interlude No1
-6 Play All Night Long
B面
-1 Jeannie Needs A Shooter
-2 Interlude No2
-3 Bill Lee
-4 Gorilla, You're A Desperado
-5 Bed Of Coals
-6 Wild Age
A-1 最初の曲に相応しいハードボイルドな歌です。ファーストアルバムの1曲目同様、主題の前に少し前触れ的なストリングスが入ります。歌詞が3番まであるのですが、ほぼ同じような内容の詩です(英語がわかればなー)。リンドレーのスライドが凄く気味悪くなり怖さも倍増です(笑)
-2 古いブルースのコピーですが、どこかで聞いたことあるよなー?とずっーと引っかかってましたが、ようやくわかりました。クラプトン在籍時のヤードバーズがカバーしてます。なんでジヴォンがやるのかは不明。リードはワクテル。
-3 ホルヘカルディロンとの共作。リードでジョーウォルッシュが硬質でエッジの聞いたソロを弾いてます。
-4 リンダがディスカントで参加(主旋律とは全く別の対旋律)曲の最後の方でジヴォンの歌う歌詞と全く別の歌詞、メロディをつけてます。これも歌詞とかわかりませんが感動します。
-5~6 ストリングスの少作に続いて、この曲聞くだけでこのアルバム買う価値がある1曲。ジャクソンがコーラスをつけるスィートホームアラバマのサビは4回も同じ歌詞で歌われ、頭から離れなくなります。リックマロッタのドラムが不気味に響き、リンドレーのスライドが危機感を煽ります(ジャクソンのプリテンダーのザ・ヒューズと同じくらいの凄いスライド)
B面
-1 ブルーススプリングステーンとの共作、これも強力。あまりにジヴォンが気に入ったのでボスが「君のアルバムで発表すればいい」と言ったそうな。
-2~3 ストリングスの少作を挟み、ジヴォンのピアノとグレンフライのコーラスのみの曲。
-4 ジャクソンがスライド弾いてます、コーラスでそのJDとドンヘンリー。たぶん人を喰ったような歌詞ですね。
-5 今度はベンキースのスライド、コーラスでリンダとJD。一度は分かれたこの二人ですがこの時期また怪しい関係になっていると思いまうす。大人です(笑)
-6 最後はいかにもジヴォンらしい曲調。素晴らしい出来だと思います。コーラスはジャクソン、ドンヘンリー&JD。リンドレーが自身のスライドは最高の演奏の一つだったと認めています。
レーベルです。 アサイラムのWマーク入りクラウドレーベル。カタログNoは5E-509。マトは両面とも5。SLMの刻印ありです。
アサイラムの本に、ウォーレンジヴォンは仮にまだ生きていたとしてもファーストのような作品は作れなかったのではないか?と書かれていましたが、いゃーこのサードもすごいです。セカンドも早く手に入れなければ(まだ未聴)
あっ ロビーのアルバムは未だに聞いてません(汗 CD持っていたので内容は知ってるし(笑)
追記
ところで本文で書いた音楽ライターの小尾隆さんが、自身のブログで喉頭癌が発覚し治る見込みがない事をカミングアウトしました。つい二週間前まではそんな前触れもなく普通に暮らしていたことも書いてます。彼は僕よりもほんの少し歳上なだけなのです。
何ということだ。小尾さんの文章は凄く好きでブログの読者であり、本も買ってます。そしてその後も「旅建つ前に」という表題でツィッター、ブログ等で現況を報告してくれてます。
まさにウォーレンジヴォンのような生き様です。小尾さんには少しでも沢山生きて欲しいと心より祈ります。
購入レコ屋 バナナレコード金山店
参考文献 アサイラムレコードとその時代