Bob Dylanその3 Blood On The Tracks
このアルバムの一般的な評価は「ディラン70年代ぶっちぎりの最高傑作」というところであることは解ってますが、僕的にはディラン全キャリアを通じて最高傑作、さらにいえば全ロックアルバムの中の最高傑作とまで言い切ります。
つまりこのBlood On The Tracksは僕にとっての無人島レコードなのです、その前に無人島レコという設問ですが、あなたにとって最高の一枚は何ですか?というのを無人島に持っていくレコを1枚選びなさい。という質問に置き換えているのですが、大体無人島にプレーヤー、スピーカーがあるのか?その前に電気はあるのか?と言いたい(笑)
(まぁどーでもいい事ですけど。)
じゃBlonde On Blondeはどーなんだ!とかHighway 61 Revisitedはどーなるんだ!とかいう人もいるかもしれませんが、あくまで僕の私的な意見ですので。
どちらにせよ、僕は今までこのアルバムを全ロックを通じて一番聴いていてこれからも一生聴き続けることは間違いないのです。
冒頭にこのアルバムが一通りと書きましたが、実はこの盤は初回プレスの裏ジャケと再発では全く違うジャケなのです、厳密にいえば回収されたプロモ盤も違うそうですが一般的に手に入らないので2種類の裏ジャケが存在する盤ということにしておきます。
最初は絵画のジャケだと思っていたのですが実は写真を加工したという事を最近知ったジャケです、オリジナルは紙質がザラザラで雰囲気抜群です。
このアルバムがなぜ自分的に一番かというと、前作のライブ、スタジオとザバンドと共演し完璧なロックを演じていたディランが今回はアコ主体っぽいサウンドに回帰してるのですが、ディランの歌はあくまでロックなところが僕は凄く気に入っていることと、ディランの歌い回しがものすごく丁寧で歌の表情の変化が凄く楽しめる、すべての曲が素晴らしい事。などがこのアルバムがNO1たる所以でしょうか。
そしてもう一つ、このアルバムからリアルタイムでディランを聞きだしたからです。
問題の裏ジャケです、これはオリジナル。ディランの今回のアルバムの賛辞をピーターハミルさんが語っており、このライナーはグラミーのベストライナーノーツを受賞しています。
そしてこれがセカンドプレスのジャケ、絵も違うものになっています。
日本盤もUS盤と同じ仕様で初回、セカンドと裏ジャケが違うし、セカンドに関してはジャケもツルツルで雰囲気は全くありません。
左USオリジナル 右 USセカンドプレス
裏ジャケも並べてみました。
まったく違いますねー、ディランがこのライナーを気に入らなかったのです。
当然のことですがようやくオリジが手に入りこのライナーは何を書いてあるのだろう?という事になります、日本初回盤には翻訳がついている可能性が高いと睨み、そこで今度は日本初回を探すことに、実は日本再発盤はいつからあるのか判りませんが、ずーと昔から持っていたのです。しかしこの盤はレコは傷だらけで針飛びしまくりのダメ盤でライナーも欠如していたのです。
今週、ふと入ったハード〇フで非常に安い日本初回を発掘、帯は無いのですが購入しました。これでようやくハミルさんのライナーを読むことができました。
余談ですがこの初回の帯付き盤は、まず出てきません。なぜかというとCBSソニーがキャンペーンでこの帯を送るとディランの本などのプレゼントをしたのでみんな帯を送ってしまってるので、帯無し盤ばかりなのです。
これが日本初回のライナーです。これにも秘密があり、菅野ヘッケルさんが付けた邦題でA-4の名曲Idiot Windの邦題が最初は「白痴風」というタイトルでしたが差別用語なのでクレームになりセカンドプレスから「愚かな風」に替えられました。
しかし「ボブディラン ディスクガイド」という本で和久井さんが語っていますが、ヘッケルさんのつけた邦題は本当にカッコイイです。タイトルからして「血の轍」ですから、他にも「ブルーにこんがらがって」「運命のひとひねり」「おれはさびしくなるよ」「彼女にあったらよろしくと」等、間の抜けた邦題が多い中、これほど素晴らしい題名はピンクフロイドの「狂気」「あなたがここにいてほしい」くらいですね(笑)
これがピーターハミルさんのライナーの翻訳文ですが、あまりに高度過ぎて何が書いてあるのか?何を言いたいのか、一回読んだくらいでは理解できませんでした。
あと数回読んでみます。
くどいようですが、ジャケをすべて並べてみました。質感がすべて違います(汗)
左上 USオリジナル(ザラザラでごわごわ) 右上USセカンド(ツルツル)
左下 JP初回盤 (ただのザラザラ) 右下 JPセカンド(ツルツルでペラペラ)
こんな感じなのです。色合いも微妙にすべて違いますねー、しかしここが非常に重大なのですが一番音が(特にボーカル)出ているのはJP初回なんですよ。
CBSソニーは最悪のカッティングだ!といっていたレコ屋の店主がいましたが、実はUSのツーアイまでは爆音だったのに、このころのオレンジ6アイレーベルは音がよくない。と僕は思っています。
曲順です、今回は邦題も付けます。
A面
-1 Tangled Up in Blue (ブルーにこんがらがって)
-2 Simple Twist of Fate (運命のひとひねり)
-3 You're a Big Girl Now (君は大きな存在)
-4 Idiot Wind" (白痴風→愚かな風)
-5 You're Gonna Make Me Lonesome When You Go(おれはさびしくなるよ)
B面
-1 Meet Me in the Morning (朝に合おう)
-2 Lily, Rosemary and the Jack of Hearts
(リリーローズマリーとハートのジャック)
-3 If You See Her, Say Hello (彼女にあったら、よろしくと)
-4 Shelter from the Storm (嵐からの隠れ場所)
-5 Buckets of Rain (雨のバケツ)
このアルバムは当初New Yorkで録音されたのですが、ディランが気に入らず故郷で再度、弟の協力を得てかなりアレンジを変えて作りなおされ、NYセッション(以下NY)は1/3くらい使われただけです、その辺の詳しい事はネットで沢山出てきますので割愛。YouTubeで沢山出てきますのでほとんど聴くことができます。
-1 Tangled Up in Blue この後ディランのライブでも定番になる曲です、NYではおっとりした歌い方ですが、アルバムでは怒りにもにた激しい歌い方です。
-2 Simple Twist of Fate しかし「運命のひとひねり」なんて訳、どーやったら考え付くのだろう?ヘッケルさんの凄さです。この後のライブでは大ハードロックに変わっていきますが、これもNYではおっとりしたバージョンでこちらもイイです。
-3 You're a Big Girl Now 途中のバックのギターがどう聞いてもミスタッチしてるとしか思えない個所があるのですが・・・・ そのまま発表しているなかな?
-4 Idiot Wind 問題の白痴風ですが アレンギンズバークが新しいアメリカ国歌にすべきだ、と語っていましたが70年代最高の曲です。バックのオルガンがライクアローリングストーンズっぽくてカッコいい!これもライブでは激しいロックになります。サビの「Its a wonder that you still know hou to breathe」を「まだ、息の仕方をしっているだけで奇跡だぜ」と訳している片桐ユズルさんの日本語訳は感動的であります。NYではこれもおっとりしたバージョンです。2番の中ほど、ドラムがズバズバズバっと入る所が最高です!
-5「おれはさびしくなるよ」 たとえばクラプトンのレイラの次の「庭の木」のように、Idiot Windのあとの暑さを鎮めるように歌われるカントリーっぽいこの曲。たぶんA面最後にIdiot Windを持っていくと、聴き手は身動き取れなくなってしまうので、この曲を最後にしたのでしょうか? ここですこし現実に戻りターンテーブルをひっくり返す事ができるのです。
長くなってきたのでここでおまけ画像(笑)
日本初盤に入っていたCBCソニー期待の新人紹介です。真中はなんとブルーススプリングスティーンです。まだBORN TO RUN発表前です。70年代は大ブレークするのでは?という紹介文。よくわかってますね(笑) 他にジャニスイアン、エリックアンダーソンなどが紹介されていました。
B面です。
-1 Meet Me in the Morning すこしブルースっぽい曲から始まります。なんかA面と全く印象が違っていて異質です。
-2 Lily, Rosemary and the Jack of Hearts ここでまたもとのアルバムの感じに戻ってきました。
-3 If You See Her, Say Hello ここでのボブの歌の表情は本当に素晴らしい、本当にこの人歌が上手いんだ、という事が再確認されますね。邦題もいいですね。
-4 Shelter from the Storm これもライブでは超ハードロックに変わりました。僕的にはこのスタジオ正規バージョンのほうが好きなんですが・・・
-5 Buckets of Rain 最後の「雨のバケツ」この曲が最後なんて、なんかもっと沢山曲がこの後出てくるような終わり方です。へーそうなんだ という感じでアルバムは終わります。
今まで何百回と聴いたこのアルバムですが全く飽きません、しかも聴くたびに新たな発見があります。本当に素晴らしいアルバムだと思います。
レーベルです。
USオリジ カタログ番号は PC33235 マトは両面とも2です。
JP初回盤のレーベル、カタログ番号は SOPO 20 再発は25AP-286 です。
日本初盤が音が一番いいと書きましたが、この頃の日本盤はイギリスからマスターが送られてくることが多い。と読んだことがあります。もしかしたらUKファーストが一番音がいいのかもしれません。まだまだ「血の轍」の旅は続くのかな(笑)
すべてのロックアルバムで、一番多く針をおとしたこのアルバムなんで、今回はメチャ気合いを入れて書いてしまいました。
この後、蔵出しのベースメントテープス、デザイヤー、そしてローリングサンダーレビューのライブ、初来日公演と70年代のディランの逆襲(60年後期から数年はパッとしなかったから)が始まるのです。
やはり僕的にはこの頃のディランが一番好きだなぁー
購入レコ屋 USオリジナル ナカシマレコード
USセカンド ヤフオク フェイスレコード
JPファースト ハードオフ宇佐店
JPセカンド 不明
購入金額 USオリジナル 3000円くらい
USセカンド 2000円くらい
JPファースト 800円
JPセカンド 不明
参考文献 ボブディラン ディスクガイド
ちなみに私のはジャケ確認したら、USオリジナルの方でした。
おはようございます。
ソニーはやはりダメなんですねー
僕はビクターが一番いい音だと思ってます(ワーナー8000番台よりも)。
でも、この盤は大差ないですが何度聴いてもボーカルが日本初盤が一番出ているんですよ。ちなみにUSオリジ、US再発ともほとんど変わりませんでした。
こんにちは、すべて同じに聞こえる件。
よくわかります、僕も最初はもそうでした。
僕も本気で好きになったのは今回のアルバムを高校の時に聴いて、それから15年後くらいですから(笑)
特に今回の「血の轍」は、初めて聴いた時ははすべて同じに聞こえましたよ。このアルバムは本当にここ数年で良さが分かってきました。
コメントありがとうございます。
拙いブログですがよろしくお願いいたします。
そーなんですね、僕もUK初回盤は狙っているのですがなかなか出物がなくて(笑)
いつかは手に入れたいです(予算内で)